2011年11月10日
K.T.W. M70シリーズ How to 通常分解編
韓国ドンサン社より製作され、K.T.W.で日本仕様に改修、販売されているM70シリーズですが
他のボルトアクションライフルと比較すると勝手が違う面も多く、特に組み立てに際して
思わぬ落とし穴があったりもします。
今回は何度かに分けてM70シリーズの分解、組み立てに際しての注意点を
述べていきたいと思います。
使用するモデルはウィンチェスターM70 Pre64モデルですが、基本構造は
シリーズ通して共通となっています。
尚、本製品はすべてK.T.W.にて調整済みの状態で出荷されているため
分解はすべて自己責任の元で行ってください。
まず、ストックにレシーバーを固定しているねじ二本を取り外します。
エンド側の長いネジに真鍮パイプが組まれていますが、これは
ストックへレシーバーが食い込まないようにするピラーベディングです。
長さは実測値よりやや+寸法で31.5mmにしてあります。
次にチャンバーを取り出すため、チャンバーブロックを取り外します。
まずは先端の穴が開いてる部分の奥にある+ネジを取り外します。
+ネジを取り外した後に、HOP調整ダイヤルを回してチャンバーブロックを
取り外します。
ここでアウターバレルを取り外せば、チャンバーユニットを取り出せますが
そうなると、組み込みの度にチャンバーの水平決めという問題が出ます。
まず、レシーバー後端のリリースレバーを押してシリンダーを引き出します。
この部分はレバーの動作が非常に堅く、最悪レバーを破損しかねないので
写真の状態で操作することをK.T.W.では推奨しています。
この部分については別の機会に対策を記述いたします。
シリンダーを引き出したらいよいよ、チャンバーユニットを取り出します。
まずはBB弾の給弾部分に先の細いドライバーを差し込み、チャンバーを
レシーバー側へ押し出します。
このとき、チャンバー外周部のOリングを傷つけぬよう注意してください。
アウターバレル内からチャンバーが抜けたら、シリンダーセットピンが
下がった状態で本体を傾けるとレシーバー側から引き出せます。
動きが渋い場合は銃口側から柔らかめの素材で押し出すと良いでしょう。
とりあえずこれで、通常分解は終了となります。
今度は組み立ての方になります。基本的には分解と逆の手順・・・ですが
M70に限らず、実は分解以上に組み立てが難しかったりします。
まずは分解時と同じ要領でチャンバーをレシーバーより差し込みます。
このとき、シアーが引っかかるのでトリガーを引いた状態で行います。
チャンバーを差し込み終えたら、チャンバーブロックを取り付けますが
必ず最初にHOP調整ダイヤルから取り付け、それから+ネジを締めます。
逆の手順でネジを締めようとすると、調整ダイヤルのネジがつっかえ
+ネジが入って行かず、無理に締めると破損の原因にもなります。
このとき、チャンバーブロックはガチガチに固定するのではなく
僅かにチャンバーブロックが動く程度に+ネジを締め込みます。
ここをガチガチに固定すると、アウターバレルに開けられたネジ穴のクリアランスで
微妙ながら斜めにブロックが固定されるばかりか、アウター内部でチャンバーが
下方面に押しつけられ、センターが狂う原因ともなります。
また画像を使い回していますが(汗)チャンバーのセットが終わったら
シリンダーを本体にセットします。
チャンバーと同じようにトリガーを引き、シアーがフリーの状態で行いますが
そのままではレシーバー後端より飛び出すトリガーセフティが干渉します。
まず、トリガーを引いた状態でシリンダー本体がシアーより奥へ差し込んだら
次にトリガーを離して最後までシリンダーを押し込みます。
初期型のトリガーメカはリリースレバーを引くと同時にシアーも降下しますが
現行型の前倒れ型構造になってからは、セットピンのみしかリリースされないため
このような処置が必要となります。
最後にリリースレバーを戻すとき、動きが堅い場合は無理に動かさず
直接シリンダーセットピンを上へ押し込み、初期位置に戻します。
チャンバー、シリンダーともに組み込みが終わったらいよいよ
ストックとアクションの結合に入ります。
このとき、ネジは前方の短い方から締め込んでから長いネジを
締め込んでいきます。
逆に長い方から締め込んでしまうと、アクションがストックへ食い込んでしまい
全体的に斜めとなって固定されてしまうため、もう一方のネジが締めれなくなります。
最後に銃が組みあがったら、一度コッキングをしてシリンダーを引ききった状態から
銃を傾け、シリンダーが抵抗無く閉鎖されれば組み立て作業は終了となります。
このとき、シリンダーが途中で引っかかったり全く動かない場合は
アクションが斜めに固定されている可能性が高いので、固定ネジの取り付け直しとなります。
今回はあくまで通常分解および、組み立てのみに焦点を当てたので
そのほかの部分や、問題部分の修正作業については追って記述したいと思います。