2014年08月03日
東京マルイ製ガスブローバック S&W M&P9
今回は2014年8月初旬に満を持して発売された、東京マルイ製ガスブローバックハンドガン
Smith&Wesson M&P9のインプレッションとなります。
発表から発売まで数年に渡りその間、後に告知された製品がリリースされるなど
ファンをやきもきさせた機種ですが、ガスブロの季節(笑)と言える真夏に発売された
本機のポテンシャルは如何ほどでしょうか。
パッケージの内容品は
・S&W M&P9本体
・専用マガジン一本
・交換用バックストラップS&L
・クリーニングロッド
・BB弾、空撃ち用ストッパー、マズルキャップが同梱された小箱
・説明書など一式
となっています。
パッケージ上箱には中身を保持する発泡スチロールが固定されており、説明書などは
そちらに収納されています。
これにより下箱の緩い保持でも中身が動くこと無く、パッケージを開けた際に説明書の類で
内容物が隠れること無く、パッと確認出来るよう工夫されています。
また、説明書とパーツリストは各々に別紙となっています。
今回、東京マルイがM&Pを製品化する上で選択した機種が9×19mm弾を使用する
M&P9 4.25インチ サムセイフティ付きモデルとなっています。
M&Pシリーズはフルサイズ系だと他にも.40S&W弾を使用するM&P40、.45ACP弾を使用する
M&P45等があり、バレルレングスにも4インチから5インチモデルなど多岐に渡ります。
実銃のM&Pシリーズについて、Smith&Wesson社のHPはこちら
http://www.smith-wesson.com/
スライド左側面にはモデル名を表す「M&P9」の刻印や、スライド後方に見えるS&Wを表す
トレードマークロゴ、近年のS&W系オートでは代名詞的な特徴でもあるスケイルセレーション
等が備えられています。
スライド中央には実銃だと使用材質を表す「STAINLESS」の文字が刻まれていますが
東京マルイ製のエアソフトガンは樹脂製なので安心して使用出来ます(笑
尚、各部に使用されているロールピンは説明書によると実銃の構造を再現するため
全て薄い金属板から板金加工で筒状に加工した物を使用しているそうです。
右側面先端にはSmith&Wesson社の社名が刻まれており、東京マルイ製やASGK刻印も
こちら側のフレームに刻み込まれています。
また、サムセイフティやスライドストップは全てアンビ仕様になっており、マグキャッチも
差し替えにより左右両方に対応出来ます。
フレームのアンダーマウントは、3スロットのピカティニー規格レールが装備されています。
グリップは一見、単純そうな形状に見えて卵形に横へ膨らんだバックストラップと
親指が当たる箇所のへこんだグリップフレーム形状により、非常に握りやすい形となっています。
ステッピング形状は滑り止め効果としてやや疑問がありますが、バックストラップ部分が
硬質ラバーになっており、こちらの摩擦力で掌に吸い付く感じとなっています。
トリガーも独自のトリガーセイフティ構造になっており、トリガー先端裏にある突起は
トリガーガード内の突起と触れることでトリガーストップとして機能します。
マガジンは側面に残弾確認用のホールがモールドで再現されており、実銃では17発ですが
エアソフトガンでは総弾数25発となっています。
また、マガジンの材質?表面処理?が変わったせいでしょうか、従来の亜鉛ダイカストマガジンと
比べて質感が若干異なっています。
マガジンリップにも工夫がされており、従来の□型ではなく○型になっておりローダーなどで
BB弾を装填する際にやりやすくなっています。
また、画像では映っていませんがフォロアー先端形状も工夫が入っており、従来の斜めカットが
入った形状では無く、凸型の形状にすることでBB弾の配列にかかわらず内部で綺麗に
整列するようになっています。
バックストラップの交換には実銃通り、特別な工具は必要なくグリップエンド部分をひねるだけで
固定しているロッドが引き出せます。
ちなみにこちらの操作には回転方向が決まっており、マガジン装填口から見て反時計回りに
回さないと回らず、無理に回すとパーツの破損を招きます。
バックストラップは標準装備されているMサイズの他、同梱されているLサイズとSサイズの
計3種類が用意されています。
全て試してみたところ、SサイズからLサイズに交換してもそれほどサイズ差を感じず
シングルハンドでサッと握るならSサイズ、ツーハンドで保持するならばLサイズの方がシックリ
来るという具合でした。
これは各ユーザー、手のサイズによって感想は異なりますが手の大きい人の場合
Lサイズのストラップに交換してもやや小さいと感じるかもしれません。
チャンバーブロック上方にはローディングインジケーター用の小窓が開いており、内部に
真鍮のカラーを入れることによって、あたかも真鍮カートが入ってるかのような演出がされています。
またスライド右側面から見たときも、スライドとブロックの隙間から真鍮色が見えるように
配慮されています。
アイアンサイトは3ドットタイプの視認性が良い作りで、リアサイト後方には後方からの光による
反射防止のセレーションが刻まれています。
フロントサイトは彫り込みを入れた上でホワイトが入っており、一部機種にあるホワイトドットを
スタンプしただけのサイトと違い、左右にドット位置がズレていると言うことはありませんでした(笑
HOP調整はスライドをディスアセンブリする事無く、ホールドオープン状態で調整可能に
なっており、この状態から指先のみでダイヤル操作をすることが可能です。
チャンバーの隙間から見える真鍮パーツがダミーカートリッジ表現のための
薄いカラーです。
さて、M&Pを持ったときにまず思ったのが「軽い」という事でした。
と言うわけで、手持ちの計量器で測ったところマガジン込みで615gでした。
尚、実銃は24oz(オンス)となっているので換算すると680g程になります。
つい先週に購入した物の、インプレをM&Pに先を越された(笑)KJ CZ P-09は
マガジン込みで872g、M&Pと比較して200g以上の差があります。
ちなみにP-09 DUTYは実銃が1.85lbs(ポンド)となっており、こちらをkg換算すると
0.839kg=839gとほぼ実銃通りの重量となっています。
こちらは東京マルイ製SIG P226 E2ですが、ブリーチ部分を以前に紹介した
樹脂ブリーチパーツに置き換えた為、純正より若干軽めですが693gとまだM&Pの方が
軽いという結果になりました。
サイトラインが低く抑えられたデザインに、握りやすいグリップ、そして軽量化された本体重量
が相まって非常に取り回しが良くなっています。
さて、本体のディスアセンブリーに入ります。
スライドとフレームの分割は、トリガーの上にあるリリースレバーを下げるだけで行えますが
注意点として、内部ハンマーがダウンしているときはスライド内部に引っかかって引き出せないので
一度ハンマーをコックするか、画像の通りホールドオープン状態から行う必要があります。
実銃ではストライカー式による打撃方法を採用しているため、ハンマーがありませんが
エアソフトガンではブローバックエンジンとなるシリンダーが内蔵されるため、フレーム後端に
小型のハンマーが内蔵されています。
フレームは本来ならば、ストライカー式のファイアリングピンを保持するシアーが入るのみですが
エアソフトガンの場合、グロックシリーズに近い形状のハンマー式にデフォルメされています。
トリガーストロークは全体で2mm程となっており、その大半となる1.6mmが2ndステージに
割り当てられています。
トラベル量が多くやや粘るトリガーフィールですが、感覚がつかめればシアが落ちる寸前で
指を止めることが出来、トリガープルも約700gと軽めなのでトリガーをスパッと引くスタイルの
トリガーコントロールですと使い勝手の良いセッティングになっています。
また、実銃ではDAOトリガーですがエアソフトガンではSAトリガーとなっています。
巷で言われているスライドコッキングが渋いと言われる原因が、ハンマーを保持するシアに有り
ハンマーダウン時にシアを前方にスライドさせて、接点をエンゲージさせますが
このとき、シアノ初動に引っかかりがあるためコッキング時の渋さを生んでいます。
ただし、ブローバック時にはトリガーと連動してシアとハンマーの連結は解除されており
スライド移動とディスコネクタを介して再びハンマーとシアがリンクするので、作動時の
抵抗になると言うことはありません。
続いて、スライド側は見慣れた負圧式エンジンにバレルアセンブリ、リコイルSPという構造ですが
HOP調整ダイヤルが先に紹介したとおり、エジェクトポート側から調整出来るようにするため
二重のギアを介して内部のレバーを昇降させる仕組みになっています。
バレルアセンブリを外した状態です。
こうするとHOP調整構造が分かりやすく、近い構造を言えばスタンダート電動ガンの
M16シリーズ用チャンバーに近い感じとなっています。
リコイルSP部分にも工夫が入り、ガイド先端のバッファーでバネが飛び出さないようになっており
これによりスライドの組み立てが非常に楽出来るようなっています。
バレルアセンブリーの分解に進みます。
アウターバレルは他機種通り、中身を軽くひねるだけで取り外すことが出来ます。
またHOP調整ギアもネジの逃がしが設けられており、ギア位置を調整するだけでHOP周りを
分解せずともチャンバーの分解が可能です。
チャンバー後方に巻かれた真鍮のカラーは、単純に填まってるだけに見えて実は外見と
固定用として内部に一段径が狭いカラーが組み合わさった二重構造なので、取り外しには
先の細いマイナスドライバーなどがあると楽です。
チャンバー周りはほぼ従来通り、多点支持型レバーにVSR/GBB対応の汎用型パッキン
真鍮バレルとなっていますが、今回バレル側に追加工が入っておりHOP窓先端へ
斜めカットが入っていました。
加工跡を見るに一本、一本手作業で研磨加工をしているのでしょうか・・・?
続いて、シリンダー側の分解を進めていきます。
シリンダーが収まっているブリーチブロックは、スライド裏側からリアサイトを固定している
ネジ二本を取り外すことで取り出せますが、スライド内部にしっかり填まり込んでいるので
取り出しにはスライドを割らないよう、丁寧に行って下さい。
ブローバックエンジンは内径15mmのシリンダーに軟質素材のピストンカップで構成されています。
ちなみにシリンダーのリターンSPには堅めの物が使用されていました。
ここで、ブリーチ本体の重量を量ってみました。
重量は47g程
ここにシリンダーアセンブリを組み込んだスライド本体が93g程になります。
参考までに樹脂ブリーチを組み込んだP226 E2のスライド本体重量は47g程でした。
初速ですが、室温28℃、134aガスを充填後にマガジンを手の中で軽く暖めたところ
東京マルイ製ベアリングバイオBB弾 0.2gで70m/s程でした。
今回、試しに試射動画を製作してみました。
新型ブローバックエンジンのお陰か、スピードとリコイルを両立した強烈なブローバック感触で
空撃ちストッパーを利用した空撃ちでも十分に楽しめそうです。
また、トリガーのリセット量が大きめに取られているためリセット量の少ないM1911系などに
慣れたユーザーですと、速射時にトリガートラベルで戸惑うかもしれません。
今回、インプレを取るに当たって試射やディスアセンブリーなどを何度も行いましたが
長く待たされただけあって、隙が無く細かいところまで作り込まれた製品であると感じました。
ロングレンジでの試射やグルーピングなどはデータが取れ次第、追々追加していこうと思います。
追記:トリガートラベルによるサムセイフティが掛からない問題
トリガーセイフティとは別にマニュアルセイフティとして追加されているサムセイフティですが
2ndステージ途中までトリガーを引き絞った際、サムセイフティが掛からなくなる問題があります。
画像はサムセイフティが通常に機能している状態です。
原因はシアーの位置関係に有り、サムセイフティは直接シアーの移動量をブロックすることで
トリガーが引けなくなりますが、2ndステージ途中まで引き絞りシアーが前進した状態だと画像の
赤丸で示した部分で、シアーとセイフティレバーが干渉してサムセイフティが掛からなくなります。
また、この状態で無理にセイフティを掛けようとするとシアー、もしくはセイフティの破損を招くので
どうしてもセイフティを掛けなくてはならない場合、一度マガジンを抜いてドライファイアを行うか
軽くスライドを引いてシアー位置をリセットさせる等の操作が必要になります。
実銃のシアー構造とは異なる、デフォルメした設計のため起きたトラブルであると思いますが
少々、残念なポイントです。